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とむらう女

図書館で働いていると、毎日何百という本を手にとります。
時々、ふっと思うのですが、世の中には本がほんとうにたくさんありますねー。
わたしの働く地方都市の中規模図書館だけでも、こんなにあるのですもの。
世界中にどれだけの本があるのだろうなんて考えると、気が遠くなりますね。
一生のうちで、何冊と出会い、何冊に心動かされ、何冊に出会えないのでしょう。

わたしの担当する児童書だけでも、毎週数十冊の新刊書が届きます。
絵本や比較的薄い本は、なるべく全てを読むようにしているのですが、
さすがに、分厚い読み物の本は勤務時間中にじっくり読書することはできません。
でもね、たまに「読んで、読んで!」と訴えかけてくる本があるのです。
そんな本は家に連れて帰ってゆっくりと読みます。
今までそんなふうに訴えかけてきた本で、失敗したことがありません。
わたしの本の勘というよりも、本に呼ばれているような、不思議な感覚です。
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『とむらう女』 
ロレッタ・エルスワース=作 代田亜香子=訳 作品社

とむらう女 (オールタイム・ベストYA)

この本は、新刊のカタログでタイトルを見た時から気になるものがありました。
そして、図書館に届いて表紙を見た時には、これは読まなきゃと思いました。
派手ではないし、明るいおはなしでもないけれど、
女の子の心の成長を細やかに描いたなかなかいい作品でした。

舞台は、19世紀のアメリカ、ミネソタ州。
11歳の少女イーヴィは母親を亡くしたばかりで、父親と妹と一緒に住んでいます。
彼女の家に、父親の姉フローおばさんがやってくるところから物語がはじまります。
フローおばさんの仕事は、「おとむらい師」
母親の死を受け入れることができないイーヴィは、死を扱うおばさんに嫌悪感を抱き
なかなか心を開くことができないでいます。
しかし、おばさんの仕事を垣間見るにつれ、イーヴィは死を受け入れ、生を受け入れ、
おばさんと、おばさんの仕事を受け入れていきます。


わたし達は、一生を生から死へと向かっていく一本道だと考えがちですが、
死が今よりももっと身近にあった昔の人は、
生と死はぐるりと回る円ととらえていたという話を最近聞きました。
仏教的な考え方の輪廻転生もそれと同じですね。
死は生のはじまりであり、生は死のはじまりである。


とむらう女_a0139104_2020226.jpg
 
 たとえば・・・
 ● 幼稚園での読み聞かせに向いている卒業・入学の絵本は?
 ● 絵本から読み物へのステップになるような本を探している
 ● あたらしい絵本の中からおすすめを教えて!       などなど 
 
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by kangaroo-books | 2010-03-12 17:54 | 【いのち】の本棚


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