カテゴリ:【戦争と平和】の本棚( 2 )

海の島 ・ 睡蓮の池 ・ 海の深み ・ 大海の光

ホロコーストのことを知ったのは、たしか小学4年生の頃。
『アンネの日記』のダイジェスト版を読んだ時でした。
はじめ、本当に起きたことだと知らずに読んだわたしは、
父からそれが実話であることを教えられ、ひどくショックを受けました。
怖くて、怖くて、その日はなかなか眠れなくて、
その後も何度も夢に出てきてうなされるほどに、子どものわたしには衝撃的でした。
中学生になり、アンネ・フランクの伝記や、実際の日記などを手にとって、
はじめてアンネの写真を見た時には、胸がしめつけられるような思いがしたのをよく覚えています。

それ以来、ホロコーストに関する本、戦争に関する本は何冊も読みましたが、
いつでも一番傷ついているのは、子どもたちでした。
それは決して歴史や、おはなしの中だけのことではなく、
今も、大人たちの起こした争いごとで、多くの子どもたちが傷ついているのです。
そのことは、自分が母になった今、ますます重く、悩ましい事実です。
自分の子どもには、絶対にそんな目にあわせたくない、そんな思いはさせたくない。
そして、自分の子だけでなく、どこの国の、誰の子にも、
そんな目にはあってほしくない、思いをしてほしくないと、強く強く、心から願います。

海の島―ステフィとネッリの物語  睡蓮の池―ステフィとネッリの物語
海の深み―ステフィとネッリの物語〈3〉  大海の光―ステフィとネッリの物語

ステフィとネッリの物語
『海の島』 『睡蓮の池』 
『海の深み』 『大海の光』
アニカ・トール=著
菱木晃子=訳
新宿書房


9月から1冊ずつ、じっくりと読んでいたシリーズ。
4巻を閉じた時、とうとう終わってしまったという気持ちと、
ステフィとネッリの旅はこの後も続いていくのだなあという気持ちで胸がいっぱいになりました。


第二次世界大戦直前、ナチスが台頭していたオーストリアから、
スウェーデンへ逃れてきた500人の子どもたちがいました。
ウィーンの裕福なユダヤ人家庭に生まれ育ったステフィとネッリの姉妹も、
親元を離れ、ふたりっきりでスウェーデンの島へとやってきます。
別々の養親にひきとられたふたりは、言葉もわからない環境の中で生活していかねばなりません。
最初、ふたりは両親がすぐに迎えに来て、一緒にアメリカへ行けると信じているのですが・・・

戦争終結の4巻までに、6年の歳月が流れます。
友情、恋、進路、差別、民族、宗教、文化・・・
さまざまな壁にぶつかりながら過ごした彼女たちの思春期の日々は、
決して苦しいばかりではなかったけれど、どれだけ大変だったことでしょう。
4巻のネッリの言葉が印象的でした。
「なにもかも複雑すぎる。どうして、もっと単純に生きることができないんだろう」
スウェーデンに来たときに7歳だったネッリは、この時13歳になっていました。
13歳の少女にこう言わせてしまう状況・・・
子どもは単純に生きてほしい、親に守られて生きてほしい。切に願います。

ただ、こう書いてしまうと、戦争の悲惨さを前面に出した作品のように思われてしまいそうですが、
この物語の最大の魅力は、丁寧に、丁寧に描かれたステフィとネッリの心情、
それから二人のまわりの人々の心情の描き方にあるように思います。
特に、ステフィが思い、悩み、喜び、悲しむ様子には、
わたしの心の中に、今も居座っている10代のわたしが反応したのか、
ひどく感情移入して読んでしまいました。
こんなにも、はまりこんで読んだのは久々です。
10代の子が読んだら、どんな感想を持つのでしょうか。
娘が中学生になったら、ぜひステフィに出会ってほしいなあ、
なんて思っているのですが、読んでくれるかな~
いつか、プレゼントしたい本です。


4巻分、書きたいことはいっぱいあるのですが、なんだかうまく書けません。
ふたりの6年間は、わたしがさらっと書けるようなものではないようです。
ステフィとネッリの人生は、この後どんな方向に進んでいったのだろうか。
おばあさんになったステフィに会って、話を聞いてみたい気がします。
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by kangaroo-books | 2010-11-09 19:19 | 【戦争と平和】の本棚

マンガで学ぶナチスの時代

『マンガで学ぶナチスの時代 1 ある家族の秘密』
『マンガで学ぶナチスの時代 2 真実をさがして』  
エリック・ヒューフェル=絵 リュート・ファン・デア・ロール=文
リース・スキパース=文 早川敦子=監訳 汐文社 







オランダ人のヘレナと、ユダヤ人のエスター。
2人の少女は、ナチスの時代にどう翻弄されたのでしょう。

1は、ヘレナの視点で語られます。
ヘレナは、ドイツから逃げてきた少女エスターと仲良くなります。
やがて、戦争はオランダにも広がり、ユダヤ人は差別され、
迫害さるようになっていきます。
ヘレナの父親は、警官なので生活を守るために、ドイツ軍に協力せざるをえません。
一人の兄は、ナチに協力する道を選び、もう一人の兄は、抵抗運動に加わり、
ヘレナの家族はバラバラになっていきました。
やがて、強制連行がはじまり、ヘレナとエスターは離れ離れになってしまいます。

2は、エスターの視点から語られます。
ドイツの状況がだんだんと悪くなり、オランダに逃げるに至った経緯。
オランダにも戦争の影が濃くなっていく日々。
ユダヤ人の目から見た、迫害の実態はどのようなものだったでしょうか。
強制収容所の恐ろしさ、人間の残酷さ。
多くの人々が、命を落としました。
その中で、エスターがどう生きのびたのでしょうか。
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オランダのアンネ・フランク・ハウスが出版した本で、
本国では、授業の副読本として使われているそうです。
当時、ヨーロッパ中のユダヤ人を効率よく収容所へ運ぶために整備された鉄道網の地図や、
アウシュヴッツの内部の図など、この本ではじめて知ったことがたくさんあります。
これから、ホロコーストの時代を描いた小説や、
ノンフィクションを、少しだけ深く理解できそうな気がします。
読み応えがありますが、用語の解説、注釈が丁寧ですので、
中学生以上の子ならば読めると思います。
画風は、タンタンシリーズを描いたエルジェによく似ています。

中学生のころ、『アンネの日記』をむさぼるように読んだのを覚えています。
なぜ、そんなにもはまったのかはわかりませんが、
中学生なりに、知らなければならないという意識があったのかもしれません。
人間が、人間を狩るようなことが、なぜ起きてしまったのか?
多くの普通の人が、何をきっかけに変わってしまったのか?
たくさんの本を読んでも、その答えはでないのかもしれません。

けれども、同じあやまちをくり返さないためには、
知ること、語りつぐことしかないと思います。

それは、もう戦争体験者だけの役割ではありません。
自分より若い人に、戦争のことを伝えていくことは、全ての大人の役割です。
戦争の真実、残酷さ、悲惨さを描いた作品を、子ども達に手渡すことは、
図書館司書の役割のひとつだと思います。

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by kangaroo-books | 2009-07-22 23:21 | 【戦争と平和】の本棚