カテゴリ:【キュートな女の子】の本棚( 3 )

おはようスーちゃん

おちびさんがおなかにいる時、なぜか男の子だとばかり思っていました。
男の子がよかったというわけではないのだけれど、
きっと男の子に違いないと信じこんでいたのです。
だから8ヶ月を過ぎて、助産師さんから「女の子ですよ」と言われた時は、びっくり!
でも、同時にとってもうれしかった。

一緒にお料理したり、お菓子を作ったり、縫い物したり、編み物したり、
庭仕事をしたり、美術館に行ったり、お買い物に行ったりしよう。
わたしの好きなあの本も、あの本も、好きになってくれるかな。
もちろん男の子だったとしても同じように思ったでしょうが、
女同士のたのしみというのかな・・・
そんな思いがむくむくむくと湧いてきて、うふふと笑みがこぼれたのでした。

おはようスーちゃん

『おはようスーちゃん』
ジョーン・G・ロビンソン=作・絵
中川李枝子=訳
アリス館


窓に花模様のカーテンのかかった、黄色いドアの家に、
スーちゃんという小さい女の子が、パパとママと住んでいました。
女の子の小さな幸せがたくさんつまった9つのおはなし。

のびのびと健やかに育つスーちゃんはとてもかわいらしく、
見ているだけで心がほわほわとほぐれていくような、幸せな気持ちになります。
そして、いつも穏やかで、子どもと一緒に楽しみ、スーちゃんときちんと向き合うパパとママ。
ふたりは、わたしの理想の両親像です。
(そういえば、わたしは先日紹介した『ツバメ号とアマゾン号』でも、
『くんちゃんのだいりょこう』でも、こんな大人になりたいって言ってますね。
子どもの本の中には、お手本にしたい大人がたくさんいます。)

スーちゃんのパパとママは、
ともすると大人が見逃してしまいそうな子どもの小さな幸せを一緒に喜び、
大人がばかにしてしまいそうな子どもの小さな発見を一緒に驚きます。
作者のロビンソン自身が、子どもと一緒に喜んだり、驚いたりできるママだったのでしょうね。
作者の次女はスザンナ、きっとスーちゃんのモデルなのでしょう。
ちなみに同じ作者による作品、『くまのテディ・ロビンソン』には、
長女と同じ名前のデボラという名前の女の子が登場します。
お母さんにこんな物語を作ってもらった子ども達は幸せですね。

『おはようスーちゃん』をはじめて読んだ時、わたしは結婚したばかりでした。
子どももいなければ、当面その予定もなかったというのに、
女の子が生まれたら、絶対に一緒に読もう!とすぐに購入しました。
以来、本棚の片隅でちょこんと控えていたかわいい赤い表紙の本、
出番がくるまでは、あと3年ほどかかりそうです。
もう少し待っててね、スーちゃん。
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by kangaroo-books | 2010-11-24 00:20 | 【キュートな女の子】の本棚

かのこちゃんとマドレーヌ夫人

今回の芥川賞と直木賞どうなるでしょうねぇ。
今頃、選考委員会が開かれているはず。
職業柄、毎回気にしてはいたものの、賞にはあまり興味はなかったのですが、
今回は気になる本が数冊候補に選ばれていたので、どうなるかなぁなんて思っています。

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)

『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』
万城目学=作
筑摩書房


タイトルからびびっときました。
万城目さんの作品はどれもそう。
『鴨川ホルモー』 『鹿男あをによし』
手に取らずにはいられないタイトルです。

先入観なく読みたいから、裏表紙の短い紹介文だけを読んで、
かのこちゃんが小学校1年生の女の子だということと、
マドレーヌ夫人が外国語を話す猫だという予備知識だけを入れて読み始めました。
かくして・・・おもしろかった~。そしてキュンとします。

独特な世界観、オリジナリティ、
おもしろ可笑しいのに、どことなく上品な文章。うまいなぁ。
予備知識なく読んだ方がずっと楽しめるので、
今回はあらすじ的なことは書きません。
ほのぼのとした物語、すこし不思議な世界がお好きな方、ぜひ。
幅広い世代が楽しめる作品です。
児童文学から一般書へと移行しつつある中学生、
読書はあまり好きじゃないけれど、おもしろいものなら読みたいという高校生にもおすすめ。


ところでこの小説、筑摩書房が“さいしょの新書”と銘打っている
中学生以上向けのちくまプリマー新書から出ています。
図書館ではYAコーナーに置かれることの多いちくまプリマー新書。
正直、あまり頻繁には借りられないのですが、なかなかおすすめなのです。
対象が中学生、高校生から大人のこの新書は、分野が多岐にわたっているし、
それぞれ専門家が書く難しすぎない文章は、わかりやすく、興味深い。
そして、ときどき今回のようにおもしろそうな小説が出たりもします。
おまけに、クラフト・エヴィング商会による装丁がおしゃれで、
新書のかたくるしいイメージがないところがいい。
そんなわけで、わたしはちくまプリマー新書から新刊が出るたびに注目しています。


ちなみに未読ですが、おなじく直木賞候補の『小さいおうち』も気になります。
バージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』が絡んでいるんだとか。
読まなくちゃ、読まなくちゃ。





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by kangaroo-books | 2010-07-15 17:26 | 【キュートな女の子】の本棚

ロッタちゃんのひっこし

時々、図書館のカウンターの前で、大泣きする子がいます。

「この本返しちゃだめー」

静かな館内に響きわたる、世界の終わりのような泣き声。

「もう一回借りてあげるから」と、お母さんがなだめても、
「ピッてしたら、また持って帰れるよ」と、わたしが声をかけてもダメ。

「○○ちゃんの本だもん。いやー」

本を抱きしめて、涙と鼻水で顔をべちゃべちゃにして、
しまいには、床にひっくり返ってかんしゃくを起こす子を見る度に、
あっ、この子もロッタちゃんだ!と思います。
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『ロッタちゃんのひっこし』  
リンドグレーン=作 ヴィークランド=絵 山室静=訳 偕成社 




ある朝、ロッタは、ぷりぷり怒りながら目を覚ましました。
ヨナス兄ちゃんとマリア姉ちゃんが、ぶたのぬいぐるみバムセをぶつ夢を見たからです。
小さなロッタは、夢で見たことを、本当のことのように思ってしまったのです。

機嫌のなおらないロッタは、ママが用意した縞模様のセーターが気に入らず
「あたい、はだかでいる!」と、着替えもしません。
朝ごはんのココアとオープンサンドも食べません。
ママに当たり散らしたあげく、セーターをはさみでじょきじょき切って、
くずかごの中におしこんでしまいました。

それから、床の上に座りこんで、泣けるだけ泣いたロッタは、
いいことを思いつきました。
バムセを連れて、引っ越しをしよう!

置き手紙をして、ロッタが引っ越した先は、
おとなりのベルイおばさんの家の物置でした。
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小さな人たちが内包する、ママを求めるパワーといったら、まぁ!

ロッタは、怒ってるのよ、ママ。
なんで、わかってくれないの?

だから、どんどん怒っちゃって、八つ当たりしちゃって。
セーター切っちゃって、ついには家出しちゃう。
もう、パワー爆発です!

このパワーは、大きくなってから、夢を追いかけたり、
好きな人を求めたりするパワーよりも強いかもしれません。


ロッタより、少しだけお兄さん、お姉さんの小学校低学年くらいの子におすすめです。
ロッタの気持ちに同化したり、行動的なロッタをうらやましく思ったりするはずです。


それから、ロッタのようなきかんぼを持つお父さん、お母さんにもおすすめ。
ロッタの周りの大人たちが、とても魅力的なのです。
家出してきたロッタを追い返さず、物置を提供するベルイおばさん。
ロッタのめちゃくちゃな怒りにも、決して怒りで返さないお母さん。
夜、やさしくロッタを迎えに行くお父さん。

大人とは、きっとこういう人たちのことをいうのだな。
リンドグレーンの描く子どもは、真に子どもらしく。
大人は、真に大人らしく。
すこやかです。

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by kangaroo-books | 2009-09-09 21:56 | 【キュートな女の子】の本棚