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ないしょのおともだち

『ないしょのおともだち』  
ビバリー・ドノフリオ=文 バーバラ・マクリントック=絵
福本友美子=訳 ほるぷ出版 




人間の女の子マリーとネズミの女の子は、同じ家に住んでいました。
けれども、おたがいの存在を知りませんでした。
ある晩、マリーは床に落としたフォークを拾おうとして、ネズミに気がつきました。
ちょうど同じころ、ネズミはスプーンを拾おうとして、マリーに気がつきました。
そして、一人と一匹はないしょのおともだちになったのです。
やがて、マリーもネズミも大きくなり、家を出て一人で暮らすようになりました。
それから、もっと時がたち、マリーはお母さんになりました。
ネズミもお母さんになりました。
マリーの娘は、マリアといいます。
ネズミの娘は、ネズネズといいます。
ある晩、マリアとネズネズに、すてきなことが起こります。
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今年の春、出版されたばかりの絵本です。

おはなしが、かわいらしいのはもちろんのこと、
親子2世代にわたる物語なので、とても満足感があります。
マリーとネズミ、マリアとネズネズがとてもよく似ているところに、くすりと笑えます。

そして、この絵本の醍醐味は、絵を読むたのしさ!
絵を描いているバーバラ・マクリントックは、
ページの隅々まで細かく描きこむ画家さんです。
ちまちまと描かれているものがたくさんあるので、読む度に新しい発見があります。
特に、見逃せないのはネズミのおうちです。
ネズミたちが、人間から拝借しただろうと思われる物が、
すてきな家具や、オブジェにリメイクされています。

このページを見ていて、『床下の小人たち』を思い出しました。
このおはなしの小人たちも、人間から拝借したもの(小人たちは借りたものと言っていますが)
を使って暮らしていました。
わたしはよくヘアピンや、洗濯ばさみや、ペンなんかをなくしてしまうのですが、
ネズミや小人たちが家具にして使っているのかもしれませんね。

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# by kangaroo-books | 2009-07-22 19:06 | 【すてきな友達】の本棚

おもいついたら そのときに!

『おもいついたら そのときに!』  
西内ミナミ=作 にしまきかやこ=画 こぐま社 

ちいさな丘の上で、おばあさんがねこと一緒にくらしていました。
黒いワンピースにすてきなエプロンをして、
灰色の髪をキュッとおだんごにした、いかにも活発そうなおばあさん。

いえいえ、活発どころではありません。
おばあさんは、いつでも「おもいついたらそのときに!」なのです。

庭のチューリップがきれいに咲いたら、
「わたしは、花作りの天才」と、家の上に花屋さんを作ってしまいます。
おいしいシチューができたら、
「わたしは、料理の天才」と、レストランを作ってしまいます。
はたまた、すてきなドレスが縫えたら、
「わたしは、洋裁の天才」と、洋服やさんを作ってしまいます。

そんなことをくり返しているうちに、おばあさんの家は大変なことになってしまいます。
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この話、身に覚えがあります。
おばあさんほどのバイタリティはありませんが、わたしもよくやってしまいます。
上手にできたり、誰かにほめられたり、何かに感動したりすると、
頭の中でなにかがピカッと光って「おもいついたらそのときに!」
となってしまうのです。

それは、幼いころからずっと。
お絵かきをほめられると、将来は絵描きさんになるんだと意気込みました。
自由研究の押し花収集が賞をもらうと、花屋さんになろうと決心しました。
小さな貝の化石を見つけた時は、考古学者。
はじめて作ったカレーを家族にほめられた時は、料理人。
お菓子作りにはまると、ケーキ屋さん。
動物園の飼育係、イルカショーのおねえさん、看護師さん、心理学者。
ちょっと自信や興味を持つと、すぐにそれが将来の夢になってしまうのが、わたしの悪い癖。
夢のことだけではありません。
「おもいついたらそのときに!」留学を決めたり、大きな買い物をしたり。
でも、後から自分の行動の早さに、大丈夫かな?と不安になったりするのです。
だから、この本のおばあさんに比べたら、わたしなんてまだまだです。

そんなわたしが、思いついてから長年ずーっと一歩が踏みだせないでいたことがあります。
それは、このブログの屋号でもある「仮想絵本屋カンガルーブックス」から、「仮想」を取ること。
つまり、絵本屋さんをやることです。
でも、最近やっとほんの半歩を踏みだしたのです。
それについても、いずれブログでお話していこうと思っています。

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 4・5歳~

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# by kangaroo-books | 2009-07-21 20:21 | 【夢中熱中】の本棚

800

『800』 
川島誠=著 角川書店 




育ちもよく、頭もよく、中学の頃からいい記録を出してきた広瀬。
家はヤクザで、女の子のことばかり考えてて、陸上をはじめたばかりの中沢。
対照的な2人が、走りぬける800m!友情!恋!セックス!
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今日は、読書デーと決めこんで、読みたい本や、読みのがしている本を並べました。
自分でもあきれるけれど、その数50冊。そんなに、読めっこないのに。

その中から、最初に選んだのが『800』でした。
読み出して、すぐ嫌な予感。失敗かも。
スポーツ嫌いのわたしには、向いていないのかも。
やたら出てくるセックス描写も、気になる・・・
なんて、思いながらページを繰っていたのですが、いつの間にかはまってました。
広瀬と中沢のスピードにひっぱられた感じ。
読み終わった時、思わず走り出したくなりました。

800mって、一筋縄ではいかない競技だそうです。
ただ思いっきり走る短距離でもないし、持久力勝負の長距離でもない。
 勝とうと思ったら、かなりの速さで走りながら
 緩急をつけなきゃならない。(本文より)

それって、若さ、青春そのものみたいです。
広瀬と中沢が走っているのは、ただのグラウンドだけじゃなくて、
青春と呼ばれる熱い日々であり、人生なのです。
広瀬と中沢と、まわりの女の子達は、勢いよく走っているだけじゃなく、
悩み、思い、考え、感じ、影響され、影響を与えながら、彼らの日々を刻んでいるのです。

出会う人によって、自分がどんどん変わっていくのは、あの時期の特権。
できれば、中高生の時に出会っていたかった作品。
その頃読んでいれば、わたし自身何かが変わったかもしれない。
たとえば、スポーツをしてみるとか、恋をしてみるとか。

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# by kangaroo-books | 2009-07-21 14:36 | 【夢中熱中】の本棚

漂流物

『漂流物』 
デイヴィッド・ウィーズナー=作 BL出版 




男の子が、砂浜でひろった水中カメラ。
フィルムを現像してみると、そこにうつっていたものは・・・
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これ以上あらすじを書いてしまうと、この絵本を開いた時の驚きが半減してしまうので、
ここまでにしておきます。

字のない絵本ですが、開いたとたんに物語があふれだします。
字がないから、読む人によって物語は少しずつ違うのかもしれませんね。

今日は、海の日です。
海の日ってすてきな祝日です。
カレンダーの海の日という字を見ると、
そうだ!海に行こうかという気にさせられます。
なかなか、そんな祝日ってありません。
そんなわけで、海に行ってきました。
海水浴とバーベキューです。

海は不思議です。
海の中には、人間が知らない何かがきっとあります。
だって、地球の70%は海ですもの。
海の真ん中の深い深いところに、石うすがしずんでいて、
海水の塩分濃度を保つために、ガリガリと岩塩をひいているかもしれません。

海の向こうには、誰かが住んでいます。
この途方もない水の、ずっとずーっと向こうにも誰かがいるという感動!
もしかしたら、海底にだって誰かいるのかもしれません。
わたし達が知らないだけで。

そして、海辺でひろう物には、どんな物にもひとつずつの物語があります。
きれいな貝がらにも、波にけずられて宝石のようになったガラスのかけらにも、
流木にも、ビンにも、流木にも。

人は時と場所を越えて、何かでつながっていることを感じさせられる絵本です。
そして、それを繋いでいるのは、海なのかもしれません。

海の日記念に、海の絵本をあと2冊。
『海へさがしに』  <絵本>
デブラ・フレイジャー=作 井上荒野=訳 福音館書店 (対象:低学年~)




切り絵と写真のコラージュ絵本。
海岸で宝物さがしをしたくなります。

『うみべであそぼう』  <ノンフィクション>
なかのひろみ=文 小林安雅=写真 福音館書店 (対象:4歳~)




ヒトデ、ウニ、カニ、ヤドカリ、海辺の生き物を紹介した写真絵本。

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# by kangaroo-books | 2009-07-20 21:42 | 【夏によみたい】本棚

トゥース・フェアリー

『トゥース・フェアリー ~妖精さん、わたしの歯をどうするの?~』  
ピーター・コリントン=作 BL出版 




イギリスでは、歯がぬけると、まくらの下にそっと置いていおきます。
そうすると、眠っている間に、歯の妖精トゥース・フェアリーがやってきて、
コインと交換してくれるのです。
では、妖精は、持って行った歯をどうするのでしょうか?
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夜の間に起こる不思議な出来事には、字のない絵本の静謐な雰囲気がぴったり。
かわいらしいトゥース・ボックスのおまけも付いています。

幼いころ、歯がぬけると、どうしていましたか?
わたしは、下の歯は屋根の上に放り投げて、
下の歯は雨だれの下に埋めていました。

最近、上の親知らずをぬきました。
ぬいた歯は、記念にもらったのですが、こまった、こまった。
今住んでいるのはアパート。
まわりは、舗装されているので雨だれがありません。
仕方がないので、かわいいマッチ箱に入れて、枕の下に置いて寝たわたし。
30歳の大人だけど、わくわくしてしまいました。
トゥースフェアリーは、日本にはいないのか、来てくれませんでしたが。残念。

この絵本と合わせて読むと楽しい本がこれ。
『はがぬけたらどうするの?-せかいのこどもたちのはなし』  <ノンフィクション>
セルビー・ビーラー=文 ブライアン・カラス=絵
こだまともこ=訳 フレーベル館 (対象:低学年~)




抜けた歯をどうするか、世界中の風習を紹介しています。
肉に詰めて、犬に食べさせる国もあるんです!

★おはなし会で使う時には・・・
 『トゥース・フェアリー』は、読み聞かせには、向きません。
 字のない絵本ですから。こういう本は、一人でじっくり楽しむもの。

 『はがぬけたらどうするの?』は、おはなし会に使うこともできます。
 全ページ読むのは、無理ですが、いくつか紹介すると子どもたちは興味しんしんです。

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# by kangaroo-books | 2009-07-17 19:40 | 【まくらもと】の本棚