タグ:読み物:中学年~ ( 12 ) タグの人気記事

ひぐれのお客 ・ ひぐれのラッパ

安房直子さんのおはなしを読んだあとに心に残る感触はひとことでは表せません。
その感触をなんとか文章にしてみると・・・
例えば、ふうわりと手袋の上に舞い降りた美しい形をした雪のひとひらが、
だんだんと溶けてなくなってしまうような感じ。
うれしくて、美しくて、印象的で、物悲しい。
だからなのか、それとも冬のおはなしが多いせいか冬になると読みたくなります。


ひぐれのお客 (福音館創作童話シリーズ)  ひぐれのラッパ (福音館創作童話シリーズ)

『ひぐれのお客』
『ひぐれのラッパ』
安房直子=作
MICAO=画
福音館書店


この2冊は、昨年福音館から出たもの。
刺繍で描かれた絵も、カバーの色合いも安房さんのおはなしに合っていて素敵です。
それぞれ、短編が6つずつ。どのおはなしからも、不思議な香りが漂います。
安房さんのおはなしのおもしろいのは、あり得ないのに、あり得そうな予感がするところ。

宝石店の地下が黄泉の世界とつながっていても、
夜な夜なねずみが縫い物にやってきても、
ねこや、うさぎがしゃべりだしても、
こんなことも起きるのかもしれない・・・と思えるのです。



いちばん好きなのは「うさぎ屋のひみつ」
とびきりおいしい料理を作るうさぎの夕食宅配サービス、
うちにもやってこないかしら。
ロールキャベルツ、えびのコロッケ、とり肉のクルミソース、
白身魚のフライ、とりと野菜のシチュー・・・
食べてみたいものですが、このうさぎ、一筋縄ではいかないのですよ。


外は寒々。。。
こんな日は、ストーブのそばで安房さんの本でも読みましょうか。
うさぎ屋が、コツコツと窓をたたきに来るやもしれません。
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by kangaroo-books | 2011-01-11 18:43

りこうすぎた王子

先日、高校時代のクラスメイトの男の子に出会いました。
けれども、はじめ声をかけられても、誰だかわかりませんでした。
だって、とってもかっこよかったんですもの。
高校時代の彼は、とても頭がいいけれど、おしゃれにはとんと興味がなく、
いつも寝ぐせのついた髪型をしているような男の子でしたから。
何が彼を大変身させたのかな?
きっと恋だな。うん、そうに違いない!!
なーんてひそかに思いながら、久々の再会をたのしみました。

りこうすぎた王子 (岩波少年文庫)

『りこうすぎた王子』
アンドリュー・ラング=作
福本友美子=訳
岩波書店


誕生のお祝いに妖精から「りこうすぎる」ことを贈られたプリジオ王子。
いずれ王となり一国を治める立場の王子にとって
りこうすぎるのは褒められるべきことのように思えますが、
何事も過ぎたるは及ばざるがごとし。
王子は国中の人たちから嫌われているのです。
それどころか、実の父である国王からも嫌われていて、
どうにかして王子を亡き者にしたいと思われているほどなのです。
それくらいに王子は嫌なカンジだったのです。
本人はそんなつもりはなくても知識をひけらかしているように見えたり、
人を馬鹿にしているように見えたりしてしまうのですから。

ところが、美しい女性ロザリンドとの出会いが彼を変えます。
今まで非科学的なものは一切信じなかった王子が、彼女をよろこばせるために、
火を吹く竜ファイアードレイク退治にむかうのです。
そのりこうすぎる頭をつかって、みごと竜退治に成功した王子は、
みんなから好かれ、ロザリンドと結ばれました。
と、なりそうなところですが、そんなわけにはいきません。
めでたしめでたしに至るためには、
王子はまだまだたくさんの試練とハプニングをくぐりぬけなければなりません。
さあて、どうなることやら・・・


昔話の研究家アンドリュー・ラングは、
『みどりいろの童話集』『くじゃくいろの童話集』と色の名前のついた
12冊の『ラング童話全集』の作者として知られています。
この『りこうすぎた王子』は、昔話に造詣が深いラングの創作作品らしく、
『シンデレラ』『アラビアンナイト』『ねむり姫』『長ぐつをはいたねこ』など
さまざまな昔話のエピソードがストーリーの隅々に隠されています。

この物語は、以前光吉夏弥さんの訳で同じ岩波少年文庫から
出ていたのですが、長い間絶版となっていました。
今回、新訳にあたった福本友美子さんの軽やかな文章も、
『はなのすきなうし』の作者ロバート・ローソンによる繊細で美しい挿絵も、物語にぴったり。
新しく生まれ変わったプリジオ王子が、
また多くの子どもたちを楽しませてくれることでしょう。


未訳ですが、ラングの著作には『愚かすぎた王子』もあるようです。
こちらは、プリジオ王子の息子の話。
読んでみたいなぁ。出版されないかしら。





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by kangaroo-books | 2010-08-05 17:51

大きな森の小さな家

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土用干し、3日目です。
5月下旬から、小梅のカリカリ漬け、梅酒、梅シロップと
目白押しだった梅しごとも、土用干しでしめくくりです。
いつもはアパートのせまいベランダで干しているので、
なんとなく風情がないなあと感じていたのですが、
今年は実家なので、庭に干すことができました。
土や草から大地のパワーをたっぷりと吸収していることでしょう。
美味しくなあれ、すっぱくなあれ


大きな森の小さな家 ―インガルス一家の物語〈1〉 (福音館文庫)

『大きな森の小さな家 ~インガルス一家の物語1』
ローラ・インガルス・ワイルダー=作
恩地三保子=訳
ガース・ウィリアムズ=画
福音館書店


『大草原の小さな家』の方が有名ですね。
そちらが有名すぎるせいなのか、『大きな森の小さな家』が
『大草原・・・』の前作だと知らない方が意外に多いのかもしれません。


この物語は、インガルス一家が新しい土地を求めて大草原に旅立つ前、
ウィスコンシン州の大きな森で暮らしていた頃の一年を描いたおはなしです。
5歳のローラの目から見た森での暮らしは、きびしいというよりも、たのしそう。
はじめて読んだ小学生の頃、こんな暮らしがしてみたいと憧れました。


そして、この物語の魅力はなんといってもおいしそうな食べ物!

 -シカ肉の燻製、塩づけの魚、黄色いチーズ
   ブタの頭肉チーズ 、 ソーセージ 、 トウモロコシやきパン
   新鮮なバターと 、 バターミルク 、 インディアン式ライムギパン
   スウェーデン式ビスケット 、 ヴィニガーパイ 、 干しリンゴパイ
   かぼちゃのパイ 、 干しベリーのパイ 、 ゆでブタ 、 ピクルス
   そして 、 メイプルシロップに 、 メイプルシュガー !!


あ~、読んでいるとおなかが鳴ります。
子どもの頃、一番食べてみたかったのは鍋で煮つめたメイプルシロップを、
雪の上にたらして冷やし固めたあめ。おいしそうなことといったら!

けれども、これらの食べ物を一から自分たちの手で作るのは大変なことです。
自分たちで作らなくてはならないのは、食べ物だけではありません。
開拓時代の彼らは、生活のすべてを作らなくてはならなかったのです。
インガルス一家は家族で助け合い、自然に感謝し、丁寧に、
そして、生活の中にたのしみを見つけながら、暮らしを築いていきます。


“暮らす”ことは、ともするととても単調に思えてしまうけれど、
丁寧に暮らせば、そのなかに無限の喜びを見つけることもできる。
読むたびに、そのことに気づかされます。





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by kangaroo-books | 2010-07-28 14:59 | 【なかよし家族】の本棚

バレエをおどりたかった馬

ちいさい頃、とても引っ込み思案だったわたしは、
母の友人のすすめで、バレエを習うことになりました。
下手のよこ好きだったけれど、ずっと続けました。
舞台に立つ高揚感!踊る楽しさ!かわいい衣装!
習い事としてのバレエはもうやめてしまったけれど、お料理しながら、
お掃除しながら、鼻歌うたいつつデタラメダンスを踊るのは大好き。
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『バレエをおどりたかった馬』 
H・ストルテンベルグ=作 菱木晃子=訳 
さとうあや=絵 福音館書店 

バレエをおどりたかった馬 (世界傑作童話シリーズ)

ある日、散歩にでた馬は、旅のバレエ団に出会い、
生まれてはじめてバレエを見ます。
「自分もあんなふうにおどりたい!」
すっかりバレエに魅了されてしまった馬は、
いなかの仲間たちと別れ、町に行くことにしました。
下宿先をみつけ、町のバレエ学校に入学した馬は、
親切な大家さんや、すてきな仲間たちにもめぐまれました。
友だちにはげまされながら、一生懸命に練習し、
バレエダンサーをめざします。
さて、馬はバレエをおどれるようになるのでしょうか?


“馬とバレエ”
このアンバランスな設定だけでも、おもしろそうでしょ。
けれども、おもしろいだけではないのです。
夢を持つことのすばらしさ、努力すればできるということ、仲間の大切さなど、
ともすればお説教くさくなってしまうメッセージを、上質のユーモアで語ります。
さとうあやさんの描くかわいらしい絵が助けになるので、
小さな子でも読みやすい本です。
わたしは、表紙の街中で人々に囲まれて
ピルエットを回る馬の生き生きとした絵が大好きです。
これを見るだけで、元気がでそう。


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 たとえば・・・
 ● 幼稚園での読み聞かせに向いているクリスマスの絵本は?
 ● 絵本から読み物へのステップになるような本を探している
 ● あたらしい絵本の中からおすすめを教えて!       などなど 
 
 子どもの本に関することで、お困りのことがありましたら、
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by kangaroo-books | 2009-11-12 18:43 | 【夢中熱中】の本棚

スウィート・メモリーズ

わたしが、小学校3年生の時まで、うちにはひいおばあちゃんがいました。
明治生まれのひいおばあちゃんは、90歳になっても自分のことは
自分でする人で、いつも和服を着て、身綺麗にしていました。
わたしは、ひいおばあちゃんの部屋で遊ぶのが好きでした。
昔はただ無邪気に遊んでいたけれど、今会うことが叶うならば、
明治から平成のはじまりまでを生きたひいおばあちゃんの若かった頃のこと、
嬉しかったこと、悲しかったこと、戦争のこと、いろいろと聞いてみたいものです。

この本を読むたび、ひいおばあちゃんの部屋にいた時の安心感を思い出します。
読んだ人のスウィート・メモリーズを呼び起こす作品です。
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『スウィート・メモリーズ』  
ナタリー・キンシー=ワーノック=作 金原瑞人=訳
ささめやゆき=画 金の星社 

スウィート・メモリーズ

シェルビーは、絵が得意だけれど、目立つのが嫌いなひっこみ思案な女の子。
両親にすすめられたイラスト・コンテストへの応募も、気が進みません。

シェルビーが楽しみにしていた誕生日のまえの晩、
おばあちゃんが病気だと連絡があり、シェルビーはママと一緒に
おばあちゃんの家に行くことになります。
パーティーがつぶれたことに腹を立てるシェルビー。
おまけに、おばあちゃんがくれたプレゼントはがらくたにしか見えない古いカメラ。
シェルビーは、すっかりご機嫌ななめになってしまうのですが、
おばあちゃんと過ごす時間が、少しずつシェルビーを変えていきます。

おばあちゃんと孫娘の設定や、年長者の思い出話が子どもを少し成長させるところなど
以前紹介した『トレッリおばあちゃんのスペシャル・メニュー』に似ている気もします。
けれども、『スウィート・メモリーズ』の方が素朴で、小さい子から楽しめます。
素朴だけれど、何度読んでも幸福な気持ちになるのが、この物語の素敵なところ。
人生は、いくつものスウィート・メモリーズでできていて、
それは決して懐かしむだけのものではなく、一歩進む勇気をくれるものでもあります。

 -この世の中に、こわがらなきゃいけないことなんて、ひとつもないのよ。  (本文より)


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by kangaroo-books | 2009-11-01 18:03 | 【大きくなるって素敵】の本棚

小さい魔女

近所の商店街では、ハロウィンの飾りつけがされています。
街路樹にガイコツがつるされていたり、街灯の下に魔女が飛んでいたり。
飲み会の帰りに、ほろ酔いで歩いていたら、
花壇の中に、一つ目小僧がちょこんと座っていてビビりました。
おいおい、君もハロウィンですか。
よく見てみると、頭に三角巾をつけた幽霊も、ろくろ首もいます。
和洋折衷ハロウィン、大賑わいです。
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『小さい魔女』  
プロイスラー=作 大塚勇三=訳 学研 

小さい魔女 (新しい世界の童話シリーズ)

昔むかし深い森の奥に、小さい魔女が口の聞けるカラス、
アブラクサスと一緒に住んでいました。
魔女の年は、たったの127歳。
魔女の世界では、まだまだひよっこです。
けれども、小さな魔女は、毎年ワルプルギスの夜にブロッケン山で行われる、
大きい魔女たちのおどりに行ってみたくてたまりません。
アブラクサスが止めるのも聞かず、ブロッケン山へ行き、
こっそりと大きい魔女たちのおどりに加わりました。
ところが、小さい魔女はうっかりして、うぬぼれやで、いじわるな
あらしの魔女ルンプンペルおばさんに見つかってしまったのです。

魔女のおかしらの前に連れて行かれた小さい魔女は、
来年までによい魔女になっていれば、次のワルプルギスのお祭りに
参加してもよいと言われて、はりきります。
たくさん勉強してよい魔女になること、
ルンプンペルおばさんに仕返しすることを心に決めて、
修行にはげむ小さい魔女ですが、何をやっても失敗ばかり・・・
小さい魔女は、よい魔女になれるのでしょうか。




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 たとえば・・・
 ● 小5の読み聞かせにおすすめの節分の本は?
 ● 出産祝いにおすすめの絵本は?
 ● 10年前に読んだ児童書を探してほしい。   などなど 
 
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by kangaroo-books | 2009-10-28 23:43 | 【魔法!魔法!】の本棚

パーシーの魔法の運動ぐつ

クローゼットの整理をしました。
使わない物は、潔くパッパッと捨てる性格ですが、靴を捨てる時だけは躊躇します。
それは、靴道楽の母の影響かもしれません。
実家の物置にある靴箱には、ずいぶん長い間眠っている靴たちがずらりと並びます。
わたしがはじめてはいた小さな靴や、母が初任給で買ったパンプスもあります。

靴を見ると、それをはいていた当時のことをありありと思い出します。
バレエシューズは、バレエのお稽古の時、友達とおしゃべりばかりしていたことを。
高校時代のスニーカーは、体育祭や、修学旅行や、好きだった男の子のことを。
留学先に持っていった革靴は、クラスメイトのことや、おいしかった食事や、異国の空気を。

靴はいつも、わたしの体と地面の間にあって、わたしとその場所とを繋いでくれているわけだから、
その場所の情景や匂いと、わたしの思いや汗とミックスして、
足を入れる穴の中に、ずっと蓄えているのかもしれません。
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『パーシーの魔法の運動ぐつ』  
ウルフ・スタルク=作 菱木晃子=訳
はたこうしろう=絵 小峰書店




ウルフは、太り気味で、のろまな、さえない男の子。
ウルフのクラスに、ちょっと不良っぽいパーシーが転校してきます。
運動神経抜群で、けんかが強くて、女の子とキスしたこともあるパーシーは、
ウルフの目にはとてもかっこよくうつりました。
パーシーみたいになりたいと願うウルフに、パーシーはそっと秘密を教えます。
パーシーがなんでもできるのは、魔法の運動ぐつをはいているからだというのです。

ところが、その運動ぐつは、ぼろぼろです。まるで、おぼれたドブネズミのよう。
ひもは途中でつぎたされているし、底はすっかりすり減っています。
おまけに、匂いは、青かびチーズにそっくり。
本当に、魔法の運動ぐつなの?と疑いたくなるような代物ですが、
ウルフはパーシーのくつがほしくてたまらなくなります。
運動ぐつを手に入れるために、パーシーに言われるがままに自分の持ち物をさしだし、
とうとうくつは、ウルフの物になるのですが・・・



大人の目線で解釈してしまえば、ウルフはパーシーにうまいこと騙されているわけです。
本人は気付いていないけれど、いじめられているとも言えるのかもしれません。
ところが、魔法の運動ぐつを手に入れたウルフは、パーシーが驚くほどの変身をとげます。
本当に魔法のくつだったのか、信じる力こそが、魔法だったのか。
そして、魔法の力に頼らなくてもよくなった時、ウルフはほんの少し大人になっています。


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by kangaroo-books | 2009-10-04 17:13 | 【すてきな友達】の本棚

魔法使いのチョコレート・ケーキ

おふとんの中の読書は、至福の時間。
本えらびは、かなり重要です。

怖い話はいけません。
悪い夢を見ちゃうからね。

長編の冒険物はいけません。
気付くと朝になってるからね。

はらはらさせられる話も、悲しい話もいけません。
眠れなくなっちゃうからね。

眠る前の読書に向いているのは、短編集や、詩集。
おはなしの世界にストンと入りこめて、
読んだ後に幸せで、おだやかな余韻が残るものがいいですね。

『魔法使いのチョコレート・ケーキ』は、最適です。
ニュージーランドの作家マーガレット・マーヒーによる短編集。
どのおはなしも、夢とうつつの境目が曖昧な上質のファンタジーです。
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『魔法使いのチョコレート・ケーキ』 
マーガレット・マーヒー=作 石井桃子=訳
シャーリー・ヒューズ=画 福音館書店
(読んでもらうなら:低学年~ 自分で読むなら:中学年~)




8つの短いおはなしと、2つの詩が楽しめます。

表題作の『魔法使いのチョコレート・ケーキ』は、
魔法の腕はわるいけれど、お料理の腕はいい魔法使いが主人公です。
魔法使いは、チョコレート・ケーキ・パーティーに
町中の子ども達を招待しようと、招待状を送りました。
けれども、子どもたちは、魔法使いのところなんかに行ったら、
気味の悪いものに変えられてしまうと考えたので、だれ一人やってきません。
友達のいない魔法使いは、一人ぼっちでした。
ところが、それから数十年後のこと。
魔法使いのもとに、子ども達がやってきました。

読み終わった時、なんとも幸せな気分が残ります。
そして、チョコレートケーキが無性に食べたくなります。


わたしは、『メリー・ゴウ・ラウンド』がお気に入りです。
メリー・ゴウ・ラウンドの持ち主のトッドとバーニーは、
子ども達が喜んで木馬に乗るのがなによりも好きでした。
ところが、子ども達をただで乗せてばかりいたので、
サーカス団を首になってしまいます。
すると、二人の前に森の住人の男の子がやってきて、
森の中でメリー・ゴウ・ラウンドを動かしてくれるよう頼みます。

トッドとバーニーのメリー・ゴウ・ラウンドが、素敵です。
木馬は、本当の馬の毛でできている、たてがみとしっぽを持ち、
立派な赤い皮の鞍をつけています。
小屋の天井には、三日月や、ほうき星や、銀色の星ぼしが描かれています。
そして、メリー・ゴウ・ラウンドがまわっている間は、
バーニーがバイオリンを奏で、トッドが金の筒をたたいて拍子をとります。
素敵でしょ。


枕元で、お母さんが小学生の子に読んであげるのにもぴったりです。
こんな夢のようなおはなしを親子で共有できるなんてうらやましい。
ただし、『幽霊をさがす』はこわい話なので、眠る前じゃない方がいいかも。

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by kangaroo-books | 2009-09-01 22:36 | 【魔法!魔法!】の本棚

魔女の宅急便

実家をはなれて、もう10年以上がたちます。
いつの間にか、実家は帰る場所ではなくて、
行く場所になっていました。
ちょっと寂しいような気もしますが、
それが、大人になるってことかもしれません。

毎回アパートに帰る日に、トランクに食べきれないほどの野菜をつめこんでくれる父と母。
二人の前では、わたしはすぐに10代の女の子に戻ってしまいます。

魔女は大変ですね。
13歳で親元を離れて、ひとり立ちしなくてはならないのですから。
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『魔女の宅急便』  
角野栄子=作 林明子=画 福音館書店 




久しぶりに読んでみたら、
小学生の頃に読んだ印象と、ずいぶん違いました。
昔はキキになりきって読んでいたけれど、
今はお母さん的立場というか、お姉さん的立場というか、ジジ的立場というか。
時々、あぶなっかしいキキにはらはらさせられます。

映画で知っているという方が多いかと思いますが、
ずいぶんストーリーが違うところもあります。
ぜひ、本で読んでみてください。
もうすぐ、6巻目が出て、完結しますね。たのしみです。

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by kangaroo-books | 2009-08-28 23:55 | 【大きくなるって素敵】の本棚

わたしたちの帽子

『わたしたちの帽子』  
高楼方子=作 出久根育=絵 フレーベル館 




ひと月だけ、街のビルの一室に仮暮らしをすることになった5年生のサキ。
最初は、ビルのあまりの古さとブキミさにがっかりしていましたが、
すぐに友だちができて、ビルはどこか不思議でわくわくする場所に変わっていきます。

サキの新しい友だちは、同じビルに住む育ちゃん。
2人を引き合わせたのは、おそろいのキルトの帽子でした。

サキと育ちゃんは、毎日のように、ビルの中を探検します。
ビルは、不思議でおもしろいことだらけでした。

額縁の裏の、かくし扉。猫の事務所。
屋上で踊る、あやしいモグラおじさん。
どこまでもぐるぐると続く、らせん階段。

育ちゃんと遊ぶのが楽しくて仕方のないサキでしたが、
育ちゃんとわかれて部屋にもどると、決まって不思議な気持ちになるのでした。

「育ちゃんは、ほんとはいない子なのかもしれない」

育ちゃんのことがいるような、いないような気がしたり、
遊んだことが、全て夢のできごとだったかのように思えてきたりします。

育ちゃんは、ほんとにいるサキのお友だちなのでしょうか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

同じビルを舞台に、少し前の時代の子どもたちの記憶と、
サキと育ちゃんの物語が交錯します。
小さな記憶の断片が継ぎはぎされて、出来上がったストーリーは、
まるで、たくさんの布を縫い合わせて作られたキルトの帽子のよう。

高楼方子さんのおはなしは、どこか夢の中の出来事のようで、ふわふわとしているのだけれど、
最後にはきちんとつじつまがあって、あー、よかったなとなります。
このおはなしも、後半、時がキーワードになっていますが、
同じ作者の『時計坂の家』『緑の模様画』も、時の不思議を感じさせられる、すてきな作品です。

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by kangaroo-books | 2009-08-20 23:33 | 【すてきな友達】の本棚