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ひぐれのお客 ・ ひぐれのラッパ

安房直子さんのおはなしを読んだあとに心に残る感触はひとことでは表せません。
その感触をなんとか文章にしてみると・・・
例えば、ふうわりと手袋の上に舞い降りた美しい形をした雪のひとひらが、
だんだんと溶けてなくなってしまうような感じ。
うれしくて、美しくて、印象的で、物悲しい。
だからなのか、それとも冬のおはなしが多いせいか冬になると読みたくなります。


ひぐれのお客 (福音館創作童話シリーズ)  ひぐれのラッパ (福音館創作童話シリーズ)

『ひぐれのお客』
『ひぐれのラッパ』
安房直子=作
MICAO=画
福音館書店


この2冊は、昨年福音館から出たもの。
刺繍で描かれた絵も、カバーの色合いも安房さんのおはなしに合っていて素敵です。
それぞれ、短編が6つずつ。どのおはなしからも、不思議な香りが漂います。
安房さんのおはなしのおもしろいのは、あり得ないのに、あり得そうな予感がするところ。

宝石店の地下が黄泉の世界とつながっていても、
夜な夜なねずみが縫い物にやってきても、
ねこや、うさぎがしゃべりだしても、
こんなことも起きるのかもしれない・・・と思えるのです。



いちばん好きなのは「うさぎ屋のひみつ」
とびきりおいしい料理を作るうさぎの夕食宅配サービス、
うちにもやってこないかしら。
ロールキャベルツ、えびのコロッケ、とり肉のクルミソース、
白身魚のフライ、とりと野菜のシチュー・・・
食べてみたいものですが、このうさぎ、一筋縄ではいかないのですよ。


外は寒々。。。
こんな日は、ストーブのそばで安房さんの本でも読みましょうか。
うさぎ屋が、コツコツと窓をたたきに来るやもしれません。
by kangaroo-books | 2011-01-11 18:43


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