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夢の彼方への旅

ボランティアさんのおはなし会がありました。
今日の担当は、昔話をとても上手に語るおばあちゃんなので、
わたしもカウンターを抜け出して、すみっこで子ども達と一緒に聞かせてもらいました。
おはなしは、『やまなしもぎ』です。
おはなしが中盤にさしかかると、5歳くらいの男の子が座ったまま、じりじりと前に進みだしました。
おしりで移動して、ついには、語っているおばあちゃんの足元にまで来てしまいました。
おばあちゃんの方を向いているわけでもないから、飽きちゃったのかなぁと思っていました。
ところが、おはなしが終わったときに、その子の口から飛び出した言葉を聞いてびっくり。
「あ~あ、おわっちゃった」
そのつぶやきに、その場にいた大人全員から、あたたかい笑いがこぼれました。

その子は、物語に夢中になるあまり、やまなしを求めて冒険をする少年とともに、
いや、自分が主人公の少年になってやまなしを求めて、前へ前へと進んでいたのですね。
おはなしってすごいなぁ。子どもってすごいなぁ。

わたしも、子どもの頃にはすーっとおはなしの世界に入ることができました。
自分がその世界を体験しているかのように感じるのです。
大きくなるにつれて、そういうことは滅多になくなりました。
おはなしの世界に入れるのは、子どもだけなのです。
大人は、外から見守ることしかできません。
でも、時々、それに近い感覚を味わって、ほんとうに幸せになります。
本を閉じるのが惜しくなります。
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『夢の彼方への旅』  
エヴァ・イボットソン=作 三辺律子=訳 偕成社
 




舞台は、20世紀初頭。
ロンドンの寄宿学校で学ぶマイアは、両親を亡くし、
ブラジルに住む遠い親戚のもとに行くことになりました。
長旅の末、マイアがたどり着いたのは、アマゾン川沿いの美しい町マナウス。
アマゾンでの生活に心をはずませるマイアでしたが、
そこに待っていたのは・・・
 
―パパが、その瞬間瞬間をつかみとって、せいいっぱい生きろっていった話はしたわよね。
  でも、ここじゃ、そんなことをする必要はないわ。
 つかみとらなくても、向こうからあたえてくれるんだから。 (本文より)



冒頭だけと思って、深夜に読み始めたら、どうしても閉じられず、気付いたら朝になっていました。
どんどんと話が展開していき(しかも、期待通りに)、
後から振り返ると、ちょっとうまく行き過ぎ?とも思えますが、
読む楽しさをとことん味わえるのが、この物語の優れたところ。
本にどっぷりとはまりたい時におすすめです。


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by kangaroo-books | 2009-10-10 20:42 | 【冒険へ】の本棚


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